Public Relations

広報・PR歴4年の私が読んでよかった本まとめ【初心者向けから実践まで】

広報・PR関連の読んだ本がだいぶ溜まってきたので、「これから広報・PRを勉強したいな〜」って人向けにおすすめ本を紹介します。

私は新卒でPR会社に入り、そのなかで広報業務も経験し、現在は個人で企業広報のサポートをしています。広報・PR系の本を読み漁りはじめてからは4年くらい。

体系的に広報業務が学べる基礎本から、海外から来たPR(パブリック・リレーションズ)の考え方が学べる本、時代に合わせた実践的な手法が書かれている本まで、まるっと15冊+αまとめました。

Contents

広報・PRはセミナーより本で学ぶべき

広報・PRは、基本的にコミュニケーションの仕事です。

「人と会うこと」「対面で人脈をつくること」が重視されている世界というのもあって、その学び方も「セミナー」に偏りがちです。セミナーの内容より、その後の名刺交換タイムが本番というケースもあったり……。

ですが、私は「まずは本を10冊読むべき!」と思っています。

なぜなら広報の業務は奥深く、以下のような条件・環境によってやるべきことが全然違うから。

  • 会社の規模・フェーズ
  • 会社の事業ジャンル
  • 会社の目指したい方向

セミナーで聞けるような汎用性の高い情報は、すべて本に書いてあります。

また、セミナー集客のためか、PR会社がノウハウを漏らしたくないせいか、企業のコンプライアンス的な問題か、ネットに落ちている情報は限られています。

まずは基礎の本から体系的に学び、周辺概念である戦略PRやマーケティング関連の知識もつけて、あとは自社にあわせてトライ&エラーの繰り返し。実践あるのみです!

広報とPRって違うの?戦略PRってなに?

もう少しだけ前置きが続きますが……

一括りにされがちな「広報・PR」について、本で学んでいくにあたって知っておくべき背景を簡単に説明します。

PR(パブリック・リレーションズ)という概念がアメリカから入ってきて、日本語に訳されたものが「広報」です。でも日本流にやり方が変わっているため、現在は単なる英語・日本語の違いではなくなってきています。

●広報:
一般的に企業広報のことを指す。企業の広報部門の業務内容を指すことが多く、マーケティング広報のほかIRや危機管理など、企業内の実務に寄って使われることが多い

●PR:
ステークホルダーとの良好な関係構築のこと。広報業務よりもっと広義の意味で使われることが多い。企業広報よりも、PR会社がやっている内容や経営との関連が深い

PR Tableさんの以下の記事などはとても参考になります!

経営者からすると「広報」は数ある手段のひとつ。でも「PR」は“絶対しなければいけない”こと。何故ならば、「PR ≒ 経営」だからです。

» 「PR」と「広報」の違いがわかる“次世代”のPRパーソンが必要

 

そもそも「広報」と「PR(パブリック・リレーションズ)」ってなんなの?という根本的な問から突き詰めたい方にはこちらの本がおすすめです

 

それでは、以下のカテゴリにわけて本を紹介していきます。

  • 企業広報の基本がわかる本・4選
  • 戦略PRの視点から広報を見る本・8選
  • 実践的な広報が学べる本・3選
  • その他、本みたいなものと映像

 

企業広報の基本がわかる本・4選

まずはいわゆる基本的な「企業広報」の業務が網羅されている本です。

広報・PRの基本 この1冊ですべてわかる

 

上場企業の広報を想定して、基本的な広報活動のことがわかりやすく網羅されています。「この1冊ですべてわかる」というタイトルにふさわしい本です。

ボリュームもありますが、やさしい言葉で書かれていて初心者でもわかりやすい。プレスリリースの書き方からメディアとの付き合い方、上場企業ほど必要な危機管理まで、広報のすべてがわかります。

「広報」として働くことの意義やマインド面もよく説明されています。広報の仕事をするようになったらまず読みたい一冊。

 

広報入門―プロが教える基本と実務 (宣伝会議の基礎シリーズ)

 

宣伝会議から出ている広報の基本書。

こちらも上と同じく、基本が網羅されています。より実践的な内容で、ソーシャルメディアの活用やBtoB企業の広報活動、シティプロモーションなどまで、広く浅く広報が学べる感じです。

メディア目線で語られているので、わりと包み隠さず書かれていて読み応えがあります。

 

新版 実践マニュアル 広報担当の仕事: すぐに役立つ100のテクニック

 

「すぐに役立つ100のテクニック」というタイトルのとおり、かゆいところまで手が届くという感じで100個の具体的なTIPSが紹介されています。

「こんなときには!」というシチュエーションありきで紹介されていて、困ったときのお助け辞書的なポジションで1冊もっておくといいかも。

「外資系企業トップのプロフィールの作り方」
「オフレコはあり?なし?」
「1社リークをどう考えるか」
「嫌がらせや脅迫にどう対処するか」

 

など、だいぶ踏み込んでくれています。危機管理や記者会見のパートが多いので、どっちかというと大企業向け。

 

最強のPRイノベーターが教える 新しい広報の教科書

 

元「ぐるなび」のカリスマ広報・栗田朋一氏の著書です。広報としてネタをつくっていく具体的な思考回路がわかります。

実際に担当されていた「ぐるなび」を事例に、どうやってメディア向けにストーリーを作って話題にしたかが赤裸々に語られているので、基礎本でつけた知識をどう活かしていけばよいのかイメージできます。

栗田さんは広報担当者のミートアップなども開催されていて、広報界では有名な方です。

 

戦略PRの視点から広報を見る本・8選

これまで紹介したのが「日本の企業広報」寄りの本だとしたら、ここからはグローバルなPR(パブリック・リレーションズ)の概念がわかる本です。

2008年頃から「戦略PR」という言葉が流行り、情報文脈をきちんとつくって世の中の空気づくりをしていく手法が注目されました。

ザ・日本企業で広報をやる人でも、知っておくべきことがたくさんあるかなと思います!

広報の仕掛け人たち PRのプロフェッショナルはどう動いたか

 

日本パブリックリレーションズ協会から出ている間違いない本。

PRの力を使って世の中が動いた事例が、企業や自治体など幅広く9ケース紹介されています。9ケースを手掛けた企業もすべてバラバラで、バランス良くケーススタディが学べます。

●この本で紹介されている仕掛け人たち
電通PR、電通ヤング・アンド・ルビカム × プラチナム〔ベクトルグループ〕、キャンドルウィック、オズマピーアール、フルハウス、博報堂、井之上パブリックリレーションズ、ココノッツ、スパイスコミュニケーションズ

ストーリー仕立てなので面白く読めます!

 

どう伝わったら、買いたくなるか

 

あのキシリトールブームを手掛けた、株式会社インテグレートCEO藤田康人氏の著書です。

マーケティング寄りの「買わせるPR」を学ぶには最適な本。いくら関係構築とか言っても、売れたほうがいいですからね…

美魔女、つけパン、ひたパン、ワコール「下着によるエイジングケア」などなど、世の中で話題になったものの裏側の仕掛けが書かれています。「スルーされない情報づくり」という点で、とても参考になります!

 

戦略PRの本質―実践のための5つの視点

 

戦略PRで多数の受賞歴をもつ、電通PRの井口理氏の著書。

「戦略PR」という言葉自体は、2018年現在終わりつつありますが、考え方としては今でも参考になることばかりです。パブリシティ(メディアに取り上げてもらう)だけで終わらない、もっと本質的なPRについて学べます。

世界のPR潮流を知るには、井口さんの発信される情報を追いかけておきましょう!

 

戦略PR代理店

国内の独立系PR会社としてNo.1であるベクトルグループCEO西江肇司氏の著書。

「トレンドをつくる」ことを得意とする集団が、どうやって数々の成功事例を生み出してきたのかが代表目線で語られています。2014年の本ですが、急成長してきたPR業界をずっと牽引してきたノウハウが詰まっています。

あきんどスシロー、バーニーズニューヨーク、ベン&ジェリーズなど誰でも知ってる事例が紹介されているので、広報担当じゃなくてもトレンドの生まれかたが気になるミーハーな人にはおすすめ!

 

PR最強集団のTOPが教えるモノの広め方

こちらもベクトルグループCEO西江肇司氏の著書です。

2010年の本なので若干古めですが、逆にいえば「戦略PR」の全盛期に書かれた本なので、エッセンスは今読んでも活かせます。

この頃のPRは、いかに広告費をかけずにモノを広めるか……といった感じです。社会にあわせて情報を加工することで、ここまで話題をかっさらうことができるという、成功事例の裏側がたくさん詰め込まれています。

メディキュット、回転寿司のスシローなど。海外事例もあります。

時代が違うのでテクニックはあまり参考にならないかもですが、メディアに取り上げられる情報を作るための思考フローを追いかける、というスタンスで読める上級者にはおすすめです。

 

戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則

 

ブルーカレント・ジャパン代表の本田哲也氏の著書。2017年の本です。

戦略PRはおわった、、と言われるなか、あえて今このタイトルで出すの素晴らしい。こういった最新のPR事例を紹介してくれる本が減っているので貴重です。

  • なぜ、インドで洗濯洗剤「アリエール」が広まったのか?
  • なぜ、「片づけの魔法」は米国でベストセラーになったのか?

こんな感じのケーススタディが、6つの法則に沿って紹介されています。

 

戦略思考の広報マネジメント

 

経営者視点で広報戦略を考えるにはとてもよい一冊。PRパーソンや広報担当だけでなく、すべてのビジネスパーソンにおすすめしたい本です。

「広報は経営だ!」
「経営戦略として広報を考えるべきだ!」
「よりよい経営環境は広報でつくれる!」

などなど、PR広報と経営を一体のものとして捉える風潮がきています。

実態は、きちんとした戦略を立てずに広報をやっている会社がほとんど。まして経営との一体感ができている企業はとても少ないです。

スターバックスコーヒージャパンや三井化学などの広報戦略が上手な事例を取り上げ、メディア側の視点としてテレビプロデューサーの意見も登場します。「広報・PR」を立体的に捉えられるようになります。

とくに経営に携わる人は、読んで損しないと思います。

 

THE REAL MARKETING―売れ続ける仕組みの本質

 

少しずれてマーケティングの本です。

ただし、この本で書かれているのは「IMC(インテグレーテッド・マーケティング・コミュニケーション)」。日本では「統合型マーケティング」などと訳されます。

先ほども紹介したインテグレートCEO藤田氏の本でして、マーケティングPRにも通ずる考え方が学べます。

最近はマーケティング企画の川上からがっつり広報・PR視点もいれていこう!という考え方が浸透しつつあるので、広報担当者や広報・PRに興味がある経営者もこの本は読んで損ないです。

 

実践的な広報が学べる本・3選

続いて、より実践的な本。実践的という言い方が正しいのかわからないのですが、PRを本業とする私が「そこまで言っちゃうー!?やめてーーー」と思ったくらい、リアルな本という意味です笑

サイバーエージェント広報の仕事術 成長をかけ算にする

 

サイバーエージェントがどベンチャーの時代からずっと広報を務められてきた、ベテラン広報・上村嗣美氏の著書。

若い女性に人気でキラキラしたイメージがある「広報」という仕事のリアルが書かれています。サイバーエージェントが30人規模のころから3000人になるまでの全フェーズでの広報を経験されてきたので、すべての広報パーソンにとって有益すぎること間違いなしです。

広報知識もさることながら、心構えやメディアとの接し方、社長に近いところで広報ができる立ち回りのお上手さ、などなど上げたらキリがないくらい敏腕……!(ベタ褒め尊敬)

女性のキャリアという面でも参考にしたい本です。

 

【小さな会社】逆襲の広報PR術

 

今まであまりなかった、「小さな会社」に特化した広報・PRの実践本です。

著者の野澤直人氏は、ベンチャー企業向けのPR会社を立ち上げられています。世の中にある広報本は、大企業向けのノウハウばかり。小さな会社にとっては何よりも「メディアに取り上げられる」ことが大事!ということで、メディアリレーションズにフォーカスした内容になっています。

特に記者との接し方など、PR会社が企業秘密にしたいようなことをこれでもかと書いてくれています。ちょっと不安になるくらい笑

PR会社出身の身としては、「あーこれあるあるw」の連続でした。

 

広報・PRの実務 組織づくり、計画立案から戦略実行まで

 

ネーミングがもったいないくらいシンプルですが、企業経営と連携した「戦略広報」を提唱している一冊。

横濱カレーミュージアムなどを手がけてきたPRコンサルタント・井上岳久氏による、2017年9月出版の比較的新しい本です。

「広報は経営と密接につながっている!連携すべき!」とずっと言われているものの、概念や考え方に終始した情報ばかりで、その実務的な部分が書かれた本はあまりなかったように思います。

しれっとかなり有益な本が出ていました。経営者は必読です。

 

その他、広報PRに関する本的なものや映像

書籍の枠に入れるようなものでもない本と、おまけで広報がわかるドラマと映画を紹介します。

広報・PR概論(PRプランナー試験のテキスト)

 

広報・PRの資格として最も有名な「PRSJ認定PRプランナー」の対策テキストです。

言うまでもなく、全体が網羅されています。このテキストは1次試験用のもので、基礎の基礎がまとまっています。学生でも取る人がいる資格なので、取る予定がなくても読んでみる価値はあります!

 

月刊広報会議

 

毎月出ている『月刊広報会議』。本というより雑誌に入りますが、広報担当者なら毎月購読している人が多いと思います。

月ごとにテーマが変わり、そのときそのときの最新広報動向にキャッチアップするには必読です!

オンライン版もあります。
» 広報会議デジタル版|宣伝会議デジタルマガジン

 

広報・マスコミハンドブック(通称:PR手帳)

通称PR手帳と呼ばれているこれ、小さなハンドブックサイズに、広報・PRに必要な基本データやマスコミの連絡先などがぎっしり詰まっています。

PRパーソンは毎年買うのが常識かなと思っていますが、企業広報はどうなんでしょう?意外と横のつながりがないと存在を知らないかもしれません。

 

ドラマ・小説『空飛ぶ広報室』

ドラマと小説がありますね!

ドラマ版はリアルタイムで観ていた人も多いのでは?綾野剛さんと新垣結衣さん出演で、航空自衛隊の広報室にフォーカスしたストーリーです。

自分で企画をつくってテレビ局に持ち込むところとか、ドラマ撮影が決まって喜ぶところとか、とてもリアルです。

航空自衛隊という特殊環境の広報室ではありますが、ベースは共通するものがあります。広報とか関係なくおもしろいのでおすすめ!

▼ドラマはオンラインで見れます(2018年1月現在)

▼小説が原作です

 

映画『東京PRウーマン』

 

某PR会社が作成した、PR会社を舞台にした映画!

山本美月さん主演で、「東京PRウーマン」のリアルな仕事がわかります。

実際にPR会社のオフィスを使用して撮影し、仕事内容も実際のプロジェクトに寄せたもの。さらに、エキストラとして社員が出演しています。

これがそのままPR会社の仕事かといえば、もちろん華やかな面を抽出してはいるものの、だいたいこんな感じかと思います!広報やPRの仕事に興味がある学生にはおすすめです。

 

まとめ:広報・PRは本で学べますが、現場が勝負です!

広報・PRは奥深すぎて、知れば知るほど沼にハマっていきます。。

本を読んで頭でっかちになりすぎないで、ある程度読み込んだらドンドン実践していきましょう!時代にあわせて変わっていくし、本に書いてあるとおりにはいきません。

情報というナマモノを扱うのが広報・PRの難しさであり面白さです\(^^)/

これから広報・PRをやりたい!という方は、ぜひこれらの本を読んでいただき、感想など話しましょう!

おわり。

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