Public Relations

プレスリリースと使い分けるべき広報ツール、「ニュースレター」について

プレスリリースでもニュースリリースでもない広報ツール、「ニュースレター」についてです。

ニュースレターにはいろんな解釈がありますが、メディア向けのものに限定してその書き方や内容をまとめたいと思います。

「プレスリリースは広報の基本だしもちろん出しているけど、ニュースレターまでは手が回っていない……。何を書けばいいのかもよくわからない」

という企業はたくさんあります。

効果が出るまで時間がかかるニュースレターですが、情報を整理していろいろな切り口を探すことで、より自社の見せ方が上手になると思います!

※言葉の整理
「プレスリリース」と「ニュースリリース」は同じものを指しますが、ややこしさ回避のためこのサイトでは「プレスリリース」と表記を統一しています。ニュースレターは別物です。

 

★プレスリリースについては全10記事以上でまとめていますので、しっかり学びたい人は下記の記事からどうぞ。

手紙のように想いが届く、プレスリリースのすべて【全11記事】広報PRを始める人が最初にぶち当たる壁は、プレスリリースの作成・配信です。 プレスリリースとは、メディアや各ステークホルダーに向け...

ニュースレターとは?プレスリリース(ニュースリリース)とは違うの?

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広報・PRにおける「ニュースレター」は、日本パブリックリレーションズ協会によると以下のように定義されています。

マスコミなどのステークホルダーと良好・健全なコミュニケーションを図るために、経営戦略、営業活動、財務状況、技術開発情報などを定期的に紹介する新聞形式の情報発信ツール。ニュースリリースが企業情報の発表資料であり、またPR誌が企業の文化や社会性などにウエートを置いたツールであるのに対して、ニュースレターはあくまでも企業活動の情報開示を目的としている。

引用:日本パブリックリレーションズ協会 | ニュースレター(News Letter)

 

こちらは少し堅めの定義です。経営戦略などの「企業活動の情報開示」ということですが、もう少しカジュアルなトレンド情報的な内容でも出せるのがニュースレターの特徴です。

プレスリリース(ニュースリリース)は何か新情報がないと出せませんプレスリリースの種類の記事でも書いたような、新しい発表をすることが条件です。

ニュースレターは、新情報でなくても出せるのがポイント。定義に書かれているような情報のほか、以下ようなネタもニュースレター向きといえます。

独自の調査、売上推移、経営状況、商品開発秘話、誕生ストーリー、人物寄りのストーリー、研究の詳細、季節ネタ、時事ネタ……など。

プレスリリースと一緒で「社会性」「客観性」は大事ですが、それよりも「季節性」「時事性」を重視して、「メディアが記事や特集を考えるときに役立ちそうなネタ」が好まれる傾向です。

メーカーなど一般向け消費財を扱う会社はやりやすいですね。大手メーカーは、ニュースレターを積極的に出している率が高いです。

ニッチな分野を攻めている中小企業など、他にやっている企業がないような専門性がある場合も、ニュースレターを出すには有利です。

 

ニュースレターの体裁に決まりはない

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ニュースレターの体裁にとくに決まりはありません。

プレスリリースにはある程度決まった型があるのですが、より自由度高く伝えたい情報を発信できるのがニュースレター。

多くの企業は、プレスリリースと似たような見た目で構成や組み方を自由にやっている感じです。枚数の制限もとくにありません。

自由度でいうと、社内報にも近いかも。社内報も、カタログのように作り込んでいるところもあれば、ペラっと1枚配るだけというところもありますよね。メール配信だけという企業もあります。

ニュースレターも同じくですが、逆に「郵送」での配布に向いている側面もあります。会報のような位置づけで、ボリュームのあるものを年に何度か送っているという企業も。

頻度も企業によりけりですが、月1や2〜3ヶ月に1本というパターンが多いです。

 

ニュースレターの具体例

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とはいっても、どんな内容がニュースレターにできるの?と疑問だと思います。

先ほども書いたように、以下のような内容がニュースレターのネタとして向いているもの。

独自の調査、売上推移、経営状況、商品開発秘話、誕生ストーリー、人物寄りのストーリー、研究の詳細、季節ネタ、時事ネタ……など。

経営情報などはわかりやすいので、季節ネタの事例をひとつ。

たとえば靴下メーカーがあると仮定して、出せる内容を考えてみます。

季節によって求めるものが違い、地味に毎年トレンドが変わる靴下は、ネタには事欠かない商材です。自社製品の売れ行きやトレンド情報をまとめるだけでも、ファッション誌などにとっては企画の参考になります。

●アイデアその1:冬のあったかソックス特集
自社製品のあったかソックスをまとめてレターに。足を冷えさせないための手軽にできる工夫や、寝るときに靴下を履くのはOK?などの情報をまとめる。

●アイデアその2:梅雨にぴったり!蒸れないソックス特集
雨の日に替えのソックスを持ち歩く人は何割?通勤で靴の中まで濡れてしまったときの対処法は?など、梅雨のお困りソックス事情の情報をまとめる。

●アイデアその3:新素材を使ったクールダウンソックス大解剖!
夏向け新商品のクールダウンソックスの、開発秘話や素材研究の様子を社内インタビュー。企画のポイントや開発のこだわりを詳しくまとめる。

●アイデアその4:靴下にかかわり続けて30年!靴下マニアに聞く選び方
名物社員の靴下マニアに、自社ソックスの変遷や選ぶときのポイントなどを聞いてまとめる。

 

ただの妄想ですが、こんな感じ。

あとは、商業施設やテーマパークなどいろいろイベントごとの多い企業もやりやすいです。

4〜6月はこんな動きがありました、という感じでイベントの様子とかをレポートしてもいいですよね。

過去のことを出せるのもニュースレターのポイント。そのまま記事になることはないけど、「こんなことをやっている企業」という印象を植え付けられれば、メディアが情報を探しているときに一番に聞いてもらえる存在になれます。

 

ニュースレターの目的は売り込みではない

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一番大事なのは、ニュースレターの目的はセールスではない!ということ。

DMやチラシとは違います。有益な情報をGIVE&GIVEの精神で提供しましょう。

そのまま取材になるわけでもないので、とっても地道な広報活動です。数ある広報活動のなかでも一番長〜い目が必要な施策かも。

ベンチャー企業でやっているところが少ないのも、これが理由です。

「このネタの最新情報ならこの企業がもっているはず」と思わせるためのコミュニケーションツールと捉えましょう。

普段から惜しみなく情報を提供しておき、「靴下のことならあの会社に聞こう!」と思われる存在になるのがニュースレターのゴールです。

 

最近はニュースレターの役割をオウンドメディアが担っている

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ここまで読んでくれた方は少し気づいたかもしれませんが、最近ではニュースレターでやっていたことがオウンドメディアに移行されつつありますよね。

誰でも情報発信ができるようになって、メディアと一般人の境目があいまいになっています。一億総発信者時代なので、もはや「メディアだけに届ける情報」じゃなくてもいい。

そういう背景からオウンドメディアが生まれ、企業情報から季節ネタからお知らせまで、従来ニュースレターに書いていたようなこともメディア上で発信する企業が増えています。

また、今までニュースレターといえば「WordやPowerPointなどで作成してPDFで配信する」というのがセオリーでしたが、今の時代はネットに移行されつつあります。

近い将来、A4用紙に印刷されたニュースレターはなくなるかもですね。

 

まとめ:余裕があればニュースレターも積極的に

広報活動に余裕がある企業は、ニュースレターを出すことも積極的に考えるのがおすすめです。

すぐに結果が出るものではないので気長にやる必要がありますが、ネタをGIVEしまくっておけばいつか必ず返ってきます。

自分たちがもっている情報はどんどん表に出していったほうがいいですね!

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おわり。

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