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お盆のプレスリリース配信はいいのかダメなのか問題に終止符を

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プレスリリースの配信タイミングについての記事はWEB上にたくさんありますが、「お盆(大型連休)のプレスリリース配信はいいのかダメなのか」という問題に関してはプロの間でも意見が分かれます。

私はPRにかかわる者として3回お盆を経験し、そのたびに考えていますが、本当に人によって言うことがバラバラ。ベテランPRマンに聞いてみても、

「お盆は記者さんいないからね。でもWEBだと出勤してるところも多いし、逆に配信する企業少ないから目に止まりやすいって説もあって……普通はあんまり配信しないけどね。どっちとも言えないけど……うーん」

みたいな返事が多く、よくわかりませんでした。。ググってもあまりサンプルが出てきません。

決着が付いていない議論ですが、個人的には結論が出た気がするのでまとめます。

★プレスリリースについては全10記事以上でまとめていますので、しっかり学びたい人は下記の記事からどうぞ。

手紙のように想いが届く、プレスリリースのすべて【全11記事】広報PRを始める人が最初にぶち当たる壁は、プレスリリースの作成・配信です。 プレスリリースとは、メディアや各ステークホルダーに向け...

データで見るお盆のプレスリリース配信

お盆に限らず、GWや年末年始などの大型連休中にプレスリリースを配信するのはどうなのか。肌感覚では、「OKだよむしろオススメ!」っていう人が多いように感じますが、両論を紹介します。

ライバルが少ないときが狙い目?

お盆(連休中)はプレスリリースの流通本数が減るというデータがあります。

プレスリリース配信本数

これは、大手リリース配信サービスの@Pressさんが公開しているデータです。
真ん中のお盆の期間中はプレスリリースの流通本数がぐっと減って、凹んでいるのがわかります。

プレスリリース記事掲載数

そしてこれが、実際に配信されたプレスリリースがどのくらい記事になったかを比較したグラフ。

そもそものデータが少なくてゼロの日もあるのでわかりづらいですが、オレンジの「お盆期間(8月13日〜8月17日)」を見ても特に減っているわけではないようです。

以下、@Pressさんの記事から引用です。(引用元後述)

プレスリリースを記者に読んでもらい、他の企業に掲載枠を取られないようにする。そのためには、ズバリ“ライバルが少ないタイミング”を狙うことです。ライバルが少ないタイミングに配信することで、記者に自社のプレスリリースを読んでもらいやすくなります。

 

記事掲載をねらうなら、タイミングをあえて外すのは効果的だよってことだそうです。

 

メディアの記者さんは、1日に100件以上のプレスリリースを受け取ることもしばしば。すべてに目を通すのは限界があるので、普段はタイトルだけで魅力を感じないものや、パッと見でピンと来ないものは一瞬でゴミ箱行きです。

 

埋もれるのがデフォルト。ということは、プレスリリースが少ないときなら読んでもらえる可能性は大きいですよね。

 

「お盆の周辺はプレスリリース配信を控えたほうがよいか?」という質問を受けることがありますが、答えはNOです。過去のデータを見る限りでは、お盆中、またお盆周辺は比較的記事になりやすい傾向があるため、このタイミングでのプレスリリースの配信をおすすめします。

@Pressさんの結論はこんな感じでした。

お盆配信のリスク・デメリットもある

「とは言っても、お盆は配信が減るんですよね?メリットしかないなら、みんなお盆に配信しません?」

って話です。そう簡単な話ではなくて、以下のような懸念があります。

  • 当然、お盆は休暇を取る記者さんも多い
  • 担当者が出社していなかったら”古いネタ“になるだけ
  • 世間的に休みモードのため、積極アプローチがしづらい
  • メディア側が興味をもってくれても、社内調整で待たせてしまうリスクがある

 

このようなことから、お盆配信は賭けの要素も強いのです。。

結局どっちなのよ?と思いますが、目的をはっきりさせることで答えが見えてきます。

プレスリリースの目的を考える

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プレスリリースを配信する目的は、やはり「記事掲載」です。記事にならないプレスリリースなんてゴミ!とよく言われて広報担当者が泣いていますね。

「記事掲載」を時間軸で3つに分けると、次のようになります。

  1. 記者の目に止まること(掲載前)
  2. 記事として露出すること(掲載)
  3. 視聴者・読者にリーチすること(掲載後)

 

1. 記者の目に止まること(掲載前)

まずは記者に読んでもらうこと。

便宜上「記者」としていますが、TVなら制作スタッフだし、雑誌なら編集者、WEBなら編集者〜フリーライターまで含みます。

メディアに載るためには、まず興味をもってもらう必要があります。

 

2. 記事として露出すること(掲載)

興味をもってもらえたら、取材や素材提供のやりとりを経て、記事や映像になって世の中に出ていきます。

情報番組や新聞記事、雑誌の特集コーナー、WEBニュース記事から体験レポート記事など、様々なかたちで「メディアを介して情報が世に出ること=掲載」です。

 

3. 視聴者・読者にリーチすること(掲載後)

忘れがちなのが、掲載後のこと。

取り上げてもらえた情報が、視聴者や読者にしっかり届いて見てもらえることが最終的なゴールです。

せっかく記事になったのに、誰も見てくれなかったら意味ないです。ここを忘れて「掲載されることがゴール」と思っている広報担当者が少なくないのです。。

掲載されても、アクセスがなかったら意味がない

上記の3ステップからわかるように、「どこをゴールに設定するか」でこの議論の決着が変わると思います。

「1. 記者の目に止まること」だけをゴールにしている人はいないと思いますが、「2. 掲載されること」をゴールにしているパターンはあります。

ただ、ここで大きな問題が。特にWEBに言えることですが、「連休中はアクセスが減る」んです。

実際のメディアの方に言われたことがありますが、連休中に公開した記事は、いつもの記事と比べてPVが伸びづらい。ブロガーなどでアクセス解析をしている方なら心当たりがあるかと思います。

WEBメディアの場合、プレスリリースを受け取った当日〜3日の間には記事になります。公開直後の一番読まれるタイミングが、海や山で遊んだり、帰省や旅行で日常から離れていいたりするときにかぶるとなると、記事になっても読まれずに流れていってしまうのです。メディア側もあまりうれしくありません。

かといってお盆が明けるのを待ってから記事をあげても、その情報の鮮度が落ちる。葛藤ですね。

「掲載をゴールにする」でもいいパターン

本質を見失っている感が否めませんが、掲載がゴールでもいいパターンもあります。下記のようなケースだと、戦略的にお盆に配信するというもひとつの手段かもしれません。

【CASE.1】上や周りからの目で、どこかに載せないとまずい

掲載数が広報活動のKPIに設定されている。プレッシャーがやばい。1つも記事にならなかったら上司に絞められる…。という場合は、ありかも。

【CASE.2】とりあえず「記事になった」という箔をつけたい

リーチ数は考えなくていいから、とりあえず記事がほしい。メディアに載ったという事実がほしい。

営業活動に活用したり、取引先に自慢したり、社員のモチベーションアップに繋げたり、記事掲載にはドメスティックなメリットもたくさんあります(無断転載はダメだよ)。これが目的なら、ありです。

【CASE.3】直接見せたい人がいる

記事を通して見せたい・知らせたい相手に、直接的に掲載記事をシェアできるとき。こういう場合も、掲載をゴールにしてもOKです。

まとめ:お盆は掲載されやすいけど、読まれにくい

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結論としては、

「掲載されやすさを考えるならお盆配信もありだけど、せっかく掲載されても読まれる数は減る」

ということになります。

多くの企業にとっては、掲載されてかつ読んでもらえることが目的だと思います。安易にお盆配信に乗っかるのではなくて、きちんとリリースの目的を考えて判断するのがいいですね。

「このプレスリリースの情報は、どの媒体にどんなふうに載せたいのか?」を具体的にイメージして、その掲載のキーマンとなりそうな方のお仕事スタイルを把握しておくこともポイントです。仲がいい記者さんがいるなら、事前にお盆のスケジュールを聞いてみるなどもありです。

よきタイミングを狙って、リーチの最大化をはかりましょう。

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おわり。

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