PR + MARKETING

「PR」と「広告」の違いって何?ニュートラルな立場から解説します

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「PRと広告って何が違うの?」

このシンプルな疑問にやっとの思いで答えます。

Googleで「PR 広告 違い」と検索すると、1ページ目にはほとんどPR会社のサイトorオウンドメディアの記事が出てくると思います。

その人たちが記事を書く本音は、

PRが広告よりも優位なことを知って、PR会社に入社してほしいor案件を発注してほしい

ということ。つまり、「PR」がかなり持ち上げて書かれていることがあります。間違った情報とまでは言いませんが、バイアスがかかっている可能性は高い。

ポジショントークが多い分野なのでなかなか書けずにいたのですが、この記事では極力「ニュートラルに」語りたいと思います。

ちなみに書いている私自身はPR会社の出身で、広告代理店とお仕事したこともあるし、今はいろんな手段を使うフリーランスです。あまりどちらにも偏見はないと思うので、どうぞ見ていってください。

この質問をする人は、広告はわかるけど「PR」を知らない

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冒頭の「PRと広告って何が違うの?」という質問は、

「PRというものを全く知らず、広告と比べて理解しようとしている人」

から出ることがほとんどです。ディスっているわけではなく、事実です。

PRを少しでもかじっていれば、広告とは圧倒的に違うものだとすぐにわかると思います。

「自己PRとかのPRのこと?」
「PR記事とかよく見るけど、ああいう宣伝のことかな」
「#PRつけてSNS投稿してる人いるよね」

この記事では、このくらいの理解度の人に向けて、PRは広告や宣伝とどう違うのか解説します。

「PRと広告の違い」としてよく使われる説明

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PRとはPublic Relations(パブリック・リレーションズ)のことで、日本語訳をあてるとすれば「広報」になります。(PRと広報の違いは?となるとややこしくなるので、ここでは一旦同義のものとします)

PRを知ってもらうためによく使われるのがこんな説明。

PRはPublic Relations、すなわち、社会との関係をつくることで経営基盤を整えていく活動のことです。企業を取り巻くあらゆるステークホルダーと、関係構築を通して合意形成をしていきます。

ちょっと概念的ですね。

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出典:Btrax

よりわかりやすくするには、この図がけっこう有名です。以前に【超基本】マーケティング、PR、広告、ブランディングの違いという記事を書いたときにも、これを使って説明しました。

  • 広告→企業が伝えたいメッセージを繰り返し伝える
  • PR→第三者によって、企業の評判が伝えられていく

すごく簡単にいうと、こんな感じ。海外からもうひとつ図があります。

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出典:Claremont

(まあ同じ意味ですが、かわいいので使っちゃいました)
広告が“I’m trustable!(私は信頼できるよ!)”と叫び続けているのに対し、PRでは部外者が”Believe me, it’s trustable.(私が保証します、それは信頼できるよ)”と言っています。PRは第三者からの情報だから、信頼性が倍増だよ〜ってことですね。

でも、これだと広告=しつこくて嫌なもの、PR=信頼できて良いもの、というイメージになってしまうと思います。そんな単純な話?

こういう説明は間違ってはいないけど

  • PR会社の人が、
  • PRの認知度が低いことを嘆いて、
  • PRの良さと可能性を知ってもらうために、

言い出したってところは注意したほうがいいかなと思います。PRの認知度が低かった2010年台前半にメジャーだった説明です。

 

PRは「無料の広告」なのか?

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PRはときに「無料の広告」とも説明されます。

広告とPRの一番の違いは、メディアにお金を払っているかどうかだ!

と解説する記事もありました。

これはパブリシティという手法に限ったときの話です。広告はメディアのスペースを購入して広告料を払うことで掲載してもらいますが、PRでは自社のニュースを報道に載せ、メディアを介して世の中に知らせるという手法を取ります。

編集権はメディア側にあるので自由自在にはならないけれど、文脈をきちんと伝えることで、自分たちにメリットのある報道にしてもらうこともできる、ということです。

この違いを比較表にするとこんな感じになります。

広告 PR
掲載料がかかる 掲載料はかからない
内容コントロール可能 内容コントロール不可
広告枠 編集・制作枠
主観的 客観的
情報信頼性:中 情報信頼性:高
確実に掲載できる 掲載は不確実

 

PRに必要なのは、広告にはない「第三者視点」

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PRは第三者視点が大事!というのは、たしかにそのとおりです。

企業が一方的に押し付けてくるメッセージより、社会のなかに自然に発生したものだったり、信頼できる誰かが言っていることを人は信じます。

広告はスペースも限られるので、あまり背景にある社会的ファクトや信憑性のあるデータを使って深い説明をすることができません。そのため、バシッと決まる短いコピーとビジュアルで訴えます。ここに第三者視点はほぼ介入しません。

今でこそ、広告という手法もあわせて使うのがよい、とみんな思い直していますが、2000年台以降は「広告が効かない時代になった」というのが散々言われるようになりました。

下記のような本が売れていたくらいなので、時代の流れるスピードを感じます。

 

そこで登場したのがPRです。「広告ではもう消費者は動かせない」という論調になってきたので、第三者視点や口コミの重要性が高まりました。

それを叶えるのが「メディアに取り上げてもらう」ということでしたが、今はマスメディアの力が少し前ほど強くなくなってしまいました。最近はもっと情報流通経路が複雑になり、「企業 対 個人」の関係づくりにフォーカスが置かれるようになりつつあります。

 

「広告代理店」と「PR会社」の違いで見るのも、よい

pr-ad-difference-6PRと広告の違いを語るときに、「PR会社」と「広告代理店」の違いに触れないわけにはいかないので、触れます。

日系・外資系のPR会社

代表的な広告代理店といえば「電通」や「博報堂」がすぐに浮かぶと思いますが、一方でPR会社はほとんどイメージがないと思います。

PR会社の代表的なものだと、以下のような企業があります。

◉ 国内PR会社
ベクトル、サニーサイドアップ、電通PR、プラップジャパン、共同PR、オズマピーアール

◉ 外資系PR会社
エデルマン、フライシュマン・ヒラード、ヒル・アンド・ノウルトン、オグルヴィ

他にも小さい専門PR会社や、PR会社の冠をつけつつ広告まで手がけたり、実情はクリエイティブが得意という会社もあったり。明確に区切れるものでもありません。

 

広告代理店とは違う、PR会社の仕事内容

知っている人も多いと思いますが、広告代理店は、

メディアの広告枠を企業に販売することが主なビジネス。メディアには、テレビCM・雑誌・新聞・チラシ・交通広告・屋外パネルなどを含み、ただ仲介するだけでなく、伝えたいことや予算にあわせて適切な媒体を選定するのも仕事。クリエイティブも含めた広め方全般のディレクションも行う。

という感じの仕事をしています。実際につくるところは制作会社が請け負うことも多いけれど、クライアントと一緒になって「広める」をやっていくブレーン的な感じ。

実は、PR会社と共同でプロジェクトチームを組むことも多いんですよ。

 

一方でPR会社はというと、

主な活動はマスメディアを通して情報を伝えること。広告枠ではなく編集記事枠や制作枠のほうでメディアに取り上げてもらえるように、文脈を開発したり企画提案をしたり。記者発表やPRイベントを仕切ることも大きな業務で、最近ではインフルエンサー活用もするし、SNSキャンペーンも手がけたりする。

一概には言えないのですが、代表的なところだとこんな感じ。

手法は多様化しつつあって、広告代理店ど真ん中のアドバタイジング業務を除いたコミュニケーション戦略全般を練る、という感じなのかなと思います。(シンプルにわけてしまえば)

「有料か、無料か」でわけることがいかに単純か、わかると思います。

 

最近はPRも広告も、境界が溶け合っている

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おわかりのように、、

最近はPR会社のようなことをやっている広告代理店も、広告展開までやりはじめるPR会社も出てきていて、その境界はあいまいになっています。

大手の「電通」が「電通PR」を持っていることからもイメージできますね。

SNS時代になってきたので、今まで以上に「マスメディア」だけに頼っていては効かなくなるし、どの手法をどう使うか?の判断は複雑になっています。お互い協業することもあるし、連動させることで上手くいくものです。

「PR」が新しい概念として出てきた一昔前は、その違いを説明するためには分けて考えたほうがラクだったのですが、「完全に別のもの」として考えること自体がすでにちょっと古くなってきています。

ちなみに、こういう手法をいろいろ組み合わせて統合的にマーケティング”的な”ことをやっていくことを、IMC(=Integrated Marketing Communication)といいます。

 

業界にブームを巻き起こした「戦略PR」という言葉

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ちょっと余談ですが、「戦略PR」という言葉が流行ったのは、2010〜2016年頃です。たぶん。

認知させるために、戦略的に世の中の空気づくりを行って、商品を買わせる雰囲気をつくっていこう……みたいな動き。

戦略PRの本もいくつか出て、ちょっとブームになりました。

 

メディアを駆使して戦略的に情報網をデザインすることで、世の中に「目に見えない空気」を作る手法です。トレンドってこうやってうまれるんですね。

PRの仕事をする人は大きく2パターン

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そんな「PR」を仕事にする人には大きくわけると2つのパターンがあります。

  • PR会社の人
  • 企業広報の人

立場によっても、カバーする業務やスタンスが大きく違います。

 

PR会社の人がやっている業務

基本的にPR会社は複数のクライアントを抱えているので、1人のPRパーソンが数社を同時に担当することが多いです。

プレスリリースを書く、メディア対応をする、という基本的な広報業務の代行もしつつ、その本質は「コミュニケーション戦略を考えること」です。クライアント企業の状況を見つつ、ニュースの出かたや報道対応などをコントロールしていきます。

なんだかんだ「対メディア」の要素は強いので、テレビ局や雑誌社をとにかく訪問するなど、メディアとの繋がりが多いのもPR会社の人の特徴です。

◉ 「広告」との関わり方
広告代理店と一緒にプロジェクトを進めることもあるし、PR会社が主導で広告をつくっているところもあります。

 

企業広報の人がやっている業務

企業のなかにいる広報の人は、もちろんその会社の広報だけをやることになります。

PR会社でもやるような社外向け広報活動に加え、社内報作成などインナーコミュニケーション目的の活動、採用目的の施策も行います。企業の規模やフェーズによってもやることはさまざま。

もちろん対メディアの取材対応なども行いますが、PR会社ほどはメディア回りや積極的なアプローチをしないケースが多いです。危機管理やIRといった領域も含まれてきたりします。

◉「広告」との関わり方
小さい会社だと広告展開も広報部で考えたりもしますが、多くの場合だと部署がわかれています。「広告宣伝部」と「広報部」は完全に切り離されている…という企業も少なくありません。

 

まとめ:広告をディスってPRをアゲても意味ない

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今回の記事は以上です。

「PRと広告の違いって何?」という素朴な疑問が、PR会社が広告をディスるポジショントークの炸裂によって、捻じ曲げられているな〜と感じたので書きました。

悲しいまでに孤独な中立視点から書いてみたので、たぶん大丈夫だと思います。

▼PRのことを学びたくなったら本をどうぞ

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おわり。

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