日本パブリック・リレーションズ協会が主催する「PRプランナー」の資格試験を受けていました。
1次〜3次まで受けてくると半年くらいかかる長〜い試験なのですが、順調に進んで無事2018年3月に合格することができたので、振り返ってみようと思います。
それぞれの試験内容と対策、受けてみた感じなどすべて書くので、これから受験を考えている人は参考にしてください!
Contents
PRプランナー資格を取ろうと思った背景
簡単に、自分の経歴と資格を取ろうと思った背景を。
新卒で総合PR会社に入社して約3年間、PRコンサルタントとして様々な企業さんのPR戦略立案やメディア対応のお手伝いをしてきました。そして、2017年3月に退職してからは個人でPRの仕事をしています。
在職中にも資格のことは知っていたのですが、業務が忙しいしまわりに受けている同僚も少なかったので、真剣に考える気になれず……。資格なんて意味あるの?実務やったほうがよくない?と思っていました。
しかしフリーになってみると、じわじわとこの資格の必要性というか、取得することでもたらされるメリットが現実味を帯びてきまして……
会社を辞めて自分のキャリアを考える時間ができたので、受けてみることにしました。
PRプランナー資格の概要
PRプランナーは、「公益社団法人 日本パブリックリレーションズ協会」が主催する資格認定制度です。
企業広報やPR会社の人など「PRパーソン」の育成を目的に2007年に導入された、この業界では唯一の資格です。
試験は1次〜3次に分かれていて、それぞれ合格すると以下の肩書がもらえます。
- 1次合格 → PRSJ 認定PRプランナー補
- 2次合格 → PRSJ 認定准PRプランナー
- 3次合格 → PRSJ 認定PRプランナー
1次と2次はマークシート方式で、1次の基本的な内容をより深くしたのが2次という構成。3次試験はパソコンを使った実技試験で、ニュースリリースと広報・PR計画の立案作成を制限時間内に仕上げます。
2次まではしっかりテキストで知識をつければ難しくない内容ですが、3次については実務経験がないと対応できないかな、という感じです。
合格率については、
- 1次試験 → 75%前後
- 2次試験 → 75%前後
- 3次試験 → 50%前後
といったところでしょうか。。けっこう回によってバラツキがありますが、3次まで突破するのはまあまあの難易度かと思います。
もっともつらいのは試験期間が長いこと……。年間2タームしか行われないので、3次まで合格するには半年かかります。(そして受験料が高い。あと、いちいち郵送で願書出したりするのが大変。。)
愚痴はほどほどにして、順番に振り返っていきます!
1次試験 – Public Relationsの基本
1次試験は、PRの基本的なことの全体感を学ぶような内容です。
50問/80分間のマークシート方式。設問に対して適切な選択肢を選ぶのですが、設問・選択肢ともに長めの文章の問題があるので少し時間がかかります。
PR(パブリック・リレーションズ)とはなんなのか、アメリカに起源をもつPRの概念にはどんな歴史があるのか、日本でどのように発展してきたのか、どんな手法があるのか、PRパーソンとして正しい振る舞い方とはなんなのか…
などなど、わりと「勉強」的なことが多いです。PRパーソンの常識や倫理観のような問題も含みます。
学生でも合格できるくらいの難易度ですが、ここで学んだことがそのまま2次試験につながるので、気を抜かずに勉強しましょう。
私の場合、PR会社にいたのでマーケティングPRやメディアまわりのことはよくわかるものの、企業の危機管理やIR/CSRなどは知らないことばかりでした。体系的にPRを理解するにはいいです。
2017年の試験では最近のSNSにまつわる出題もあり、
- Instagram ー 正方形の写真
- ツイキャス ー モイ
みたいな結びつけ問題もありました。
1次試験の対策本
PRの基本書です。試験会場では皆これを持っていて全面真っ青だったので、購入必須です。
2次試験 – より深い分野別のPRの知識
1次に合格すると、2次試験に進めます。
2次試験では、科目A・B・C・Dの4つにわかれ、各科目25問/50分。
4セットあるので、1日がかりでけっこう消耗します。。1問に2分充てられるということは……わかりますよね。設問と選択肢がめっちゃ長いです。
※なお、1次合格後に認定申請することで「PRプランナー補」の称号がもらえますが、認定申請はしなくても次に進めます。認定料がかかるので、このまま2次に進む人はしなくて大丈夫。(2次に落ちてしまってもあとから1次認定の申請ができます)
4つの科目の中身は以下のとおり。
● 科目A : CSR、IR、危機管理等、経営と広報・PRに関する知識
コーポレートPRについてのこと。CSR、IR、危機管理広報など。消費者だけでなく、株主とか投資家とか、いろんなステークホルダーに関わる問題。大企業では特に大事だよなあと思わされます。
● 科目B : マーケティング及びブランドマネジメントに関する知識
マーケティングとブランディングについて幅広く。また、これらに伴う市場調査のこと。広報業務だけをやっているとあまり触れない分野なので、普通に勉強になります。
● 科目C : PR実務に関する知識
PRツールの作成、メディアリレーションズ、記者発表や取材、PRイベント、調査や効果測定などPR実務のこと。ブログやSNSなど新しめのことも出題されるので、凝り固まった知識だと撃沈します。
● 科目D : 時事知識
(1) 社会、(2) 政治、(3) 経済、(4) 国際、(5) 生活、(6) 科学・医療、(7) 文化、(8) スポーツ
の範囲から、時事問題が出題されます。試験前の6ヶ月の出来事から出題されると決まっているので、まとめサイトなどを読み込んでおきましょう。わりと難しいです。
※5月実施の試験では試験実施前6ヶ月(10月~3月)、11月実施の試験では試験実施前6ヶ月(4月~9月)から出されます
実は、2次の時事問題が最大の難関
1次〜3次まですべて受けたなかで、2次の時事問題が最大の難関だと感じました。。
国際政治や経済的なことなど堅めの内容もかなり多く、日頃からニュースを見ていないときついです。私のような「トレンドには敏感だけど政治・経済はあまり追えていないマーケ寄りPRパーソン」には厳しい……。
試験後の帰り道、知り合いがいる他の受験者の人たちは答え合わせに必死の様子でした。
パンダの「シャンシャン」くらいしか回答に自信がなくて落ちたと思いましたが、なんとか通過しました。
2次試験の対策本
2次試験の会場は全面グレーでした。これ必携です。
広報・PR実務―PRプランナー資格認定制度2次・3次試験対応テキスト
3次試験 – ニュースリリース作成とPRプランニングの実技
2次に合格すると、3次はパソコンを使った実技試験です。
パソコンルームに缶詰にされ、3時間で2つの課題をこなします。
課題A:ニュースリリースの作成
課題B:広報・PR計画の立案作成
課題Bに関しては、「コーポレート課題」か「マーケティング課題」のどちらか好きなほうを選んで回答する選択制です。自分の得意なほうを事前に決めておいたほうがいいでしょう。
3次試験はとにかく時間との戦い!実際に受けた感じだと、会場にいる全員が時間ギリギリの様子でした。
この2つの課題をいかに効率よく時間配分をして、サクサクと資料を作成していくかにかかっています。
1次と2次は暗記でくぐり抜けられるのですが、この3次だけはそうもいきません。。認定条件にも「3年以上の実務経験」とあるように、実務をある程度やっていないと難しい内容です。
逆に言えば、実務でバリバリやってるぜ!という人には楽勝かもしれません。
今回受けた回(2017年度後期・第21回)の課題内容や、私なりに考えた回答のコツ、当日の詳しい様子などは、長くなるので別の記事にまとめました。あわせてどうぞ!
3次試験の対策本
以下の対策本のなかに見本の企画がいくつか掲載されています。見ておくとよさそうです!
ちなみにこの本、1次2次の問題集でもあるので、最初に買っておくのがおすすめ!
「資格なんて意味ない」とも言われるけど
実務バリバリの人は「資格なんか取っても意味ない」と言ったりするのですが、一度体系的にちゃんとPRを学ぶことの意味はあるなーと思いました。
PRって、誤解されやすい職種なので。。その意味でも「お、ちゃんと勉強した人なんだな」というイメージの助けにもなりますよね。
» ダークサイドに堕ちたくない人へ−−PRプランナー資格受験のススメ
↑ こちら、受けようと思ったきっかけのひとつの記事です!
どうしようかなーと思った人や、これから広報・PRを勉強したいと思った人には、とりあえず本をいろいろ読んでみるのがおすすめ。広報・PR本のまとめ記事もあるのでご覧ください。
▼3次試験の対策はこちらね
質問とかあればTwitterからどうぞ。
おわり。