COLUMN

過去と未来がない?オーストラリアの先住民アボリジニの教え

最近オーストラリアに滞在しているのですが、

「オーストラリアの先住民族アボリジニの教え」が個人的に好きすぎたので、紹介します。

アボリジニとは、5万年くらい前からオーストラリアに住んでいたといわれている先住民族。今でもルーツを持つ人はいて、中には都市部でふつうに暮らしている人がいます。

「過去」「未来」といった時間の概念がない、ドリームタイムの考え方、自然と調和するワンネスの教えなど、現代に消耗しながら生きている日本人には刺さるものばかり。

歴史・文化には一旦ふれず、信仰や教えについてまとめます。

オーストラリアの先住民アボリジニとは

Aboriginal beliefs 5アボリジニ

Wikipediaによると、下記のように紹介されています。

アボリジニ(英: Aborigine)は、オーストラリア大陸と周辺島嶼(タスマニア島等。ニューギニアやニュージーランド等は含まない)の先住民である。イギリスを中心とするヨーロッパ人達による植民地化の以前からオーストラリア大陸やその周辺諸島に居住していた先住民の子孫達である。オーストラリア先住民という場合はトレス海峡諸島民を含む。
──Wikipediaより引用

「アボリジニ」という言い方には差別的な響きがあるようで、近年ではほとんど使われていないようです。

かわりに、アボリジナル、アボリジナル・ピープル、アボリジナル・オーストラリアン(Aboriginal Australians)またはオーストラリア先住民(Indigenous Australians)などの表現が一般化しています。(※この記事ではわかりやすさ優先で「アボリジニ」と表記してしまいます)

アボリジニは5万年ほど前から、乾燥した内陸部(アウトバック)で主に生活していたといわれています。

しかし、詳しくは割愛しますが、無理やり都市生活を強いられた過去もあったりして、オーストラリアではちょっとだけセンシティブな話題になっています。

“時間”の概念がないアボリジニ

Aboriginal beliefs 6時間の概念

アボリジニには、「過去→現在→未来」という考え方がありません。

すべてがサークルになって、同時刻に世界に存在している。「何時になったらこれをしよう」みたいな発想になることがなく、「季節ごとの行事・イベント」なども存在しない。

そもそも昔は時間というものを知らなかったのだと思います。長期スパンで見ても、時間を意識しているからこそ生まれる行事などがありません。日本だと、太古の昔から季節行事はありますね。お正月とか、田植え前の豊作祈願みたいな。

アボリジニは狩猟中心の文化で、オーストラリアは年中気候が安定している(極端に寒暖差がない)こともあり、あまり季節を意識する必要もなかったようです。

時間の概念がないと言っても、「さっきこれをしたから、今はこう」という現象はもちろん理解します。

だから時制でいうと、「現在完了」「現在」のみで生きていると言えるんですかね。

私たちは皆「ドリームタイム」を生きている

Aboriginal beliefs 4ドリームタイム

アボリジニの教えとして代表的なものに「ドリームタイム(Dream Time)」というものがあります。

ドリームタイムとは、「太古の昔に起きた天地創造のドラマが、今この瞬間にも続いている」という考え方のことです。「ドリーミング」という呼称のほうがしっくりくる人も多いようです。

私たちは「ドリームタイムを生きている」という感じ。

伝統的なアボリジニアートも、大半はドリームタイムを絵で表現したものだそうです。アボリジニは文字を持たなかったので、天地創造の神話や信仰などを伝承するために、アートが用いられていました。

ドリームタイムについては多くの学者が研究してきましたが、依然としてあまり詳しいことはわかっていません。

ただ、はっきり言えるのは「ドリームタイムは今も続いている」ということ。私たちが生きる現代も、ドリームタイムのなかの出来事と考えられています。

» 参考:Aboriginal Dreamtime

自然と調和する「ワンネス」の考え方

Aboriginal beliefs 1ワンネス

ドリームタイムから派生した考え方として、「ワンネス(Oneness)」というものがあります。

ワンネスとは、「地球とそこに存在するものはすべてひとつなぎ」という考え方です。みな同じ源から生まれ、ひとつのエネルギーでつながっている。

人間はもちろん、動物も魚も虫も、木や花も、道に転がる石までも。

その存在価値や尊さに優劣がないので、「自然と調和する」というのはアボリジニにとって当たり前のことでした。人間が自然の上位にいる、人間が自然を支配する、ということはありません。

すべての存在を平等に扱うため、生命のないものに対しても、あるものと同じような対応をすることがあります。エネルギーが等しく宿っている、ということが前提。

精神的に豊かな生活ができるのは、こうした意識からきています。

だから「所有」という概念もない

Aboriginal beliefs 3所有の概念

という考え方に基づくと、「所有する」という概念もなくなるようです。

誰のもの、という発想がないので、争いなどもめったに起きません。昔の争いって、そのほとんどが「食料や土地の奪い合い」からくるものですよね。

所有という概念がないと、そもそも「支配」「独占」みたいな発想も生まれず、自分の管理化に置きたいという欲もありません。「統治」とかも無縁。

とっても平和ですね。

アボリジニたちは、そこに存在するものを皆で等しく分け合い、自分のとか相手のとかは考えず、シェアしているのです。というか、所有の概念がなければシェアの発想もないんですけどね。説明が難しい。

個人的には、めちゃくちゃ好きな考え方です。

まとめ:アボリジニの教えは、今こそ実践すべき

Aboriginal beliefs 2現代人

「過去と未来がない」というのはなんとなく知っていて興味があったのですが、改めていろいろ学んでみると、自分の思想にかなり近いものがありました。

私自身は、

すべての生命は地球の一部で、私たち人間もその構成員でしかない。ここに存在するモノは誰のモノでもない。

という考えをずっと持っていて、それに似ているなと感じました。

でも、時間にかんしてはかなり「過去・現在・未来」の繋がりを意識してしまう……。なかなかこの発想を取り入れるのは難しそうです。

でも、アボリジニの教えは、精神的な豊かさや幸福を追求する本質的な発想だと思うので、いろいろと消耗してしまう現代の日本人ほど、見習うべきところがあるのではないかなーと思います。

以上、アボリジニの教えでした。

おわり。

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