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きれいに並んだ新品よりも、リサイクルやアンティークのお店で掘り出すほうが楽しい話

最近、新しいものにあまり興味がもてない。

特に暮らしの中で使うものに関して。都会の駅ビルなんかを回っていると、トレンドの新品があふれるくらい並んでる。眺めているのは楽しいけれど、なんだか美術館にいるような気分になってきて、そこに「所有」という欲は生まれないのです。

「欲しい物があれば新品を買う」というのは多くの日本人にとってずっと当たり前のことだったと思うのだけど、近頃それにものすごく違和感を感じるようになってきました。

惹かれるのは断然、リサイクルショップやアンティーク家具屋さんなどで見つける古いもの。予想もしなかった出会いがあるのも、より楽しいと感じる理由かも。そんな最近の価値観を書き残しておきます。

お洒落なショップより、リサイクル店で買い物してる

趣味がリサイクルショップ巡り」というとなんだか安っぽい響きで嫌なのだけど、最近はどこで買い物するよりもリサイクルショップやアンティークショップが楽しい。洗練されたお店から郊外特有のスーパージャンク(ガラクタだらけ)な商店まで幅広く。

何がいいって、行くたびに違うものと出会えるところ。普通のお店は、ここに行けばこんなものがある、とある程度予測できて、それが安心感でもあるのだけど、そういうお店は毎回訪れるたびに置いてあるものが変わっている。だから何度でも足を運びたくなる。飽き性の私にぴったりです。

Op shop 16鍋

たとえば、これらのお鍋やガラスパンはリサイクルショップで買いました。キッチンツールはそもそも長く使えるように作られているから、状態のいいものが安く見つかります。

Op shop 17照明

今使っている照明もユーズドのものです。定価1万5000円くらいするものが、3000円ちょっとで買えたかな。ひどいガラクタの中に混ざって、これだけが異彩を放っていました笑

Op shop 11アンティークミラー

こちらはイタリア製のアンティークミラー。なんとなく形がかわいいと思って買ったら、あとから「八角ミラー」という縁起ものだと知りました。古いもののお店を巡っていると、そういうものが光って見える審美眼が磨かれてくるよね。

Op shop 12スツール

ずっと欲しいと思っていた小さなスツールも、アンティーク家具のお店でいいものが見つかりました。シンプルな木製スツールなのだけど、下の真ん中の部分が三角▼になっていて、個性があって素敵です。こういうのって新品だとなかなか見つからないんだよね。

Op shop 14食器

食器もリサイクルショップや市場みたいなところで少しずつ買い集めています。これらは手びねりで作ったみたいな味のある食器。ひどいガラクタの中に埋もれていたからもしかしたら素人作品な可能性すらあるけど、自分のセンスを信じて揃えていくとけっこう様になります。元の値段はわからないけど、これ、ひとつ50円とか笑

Op shop 13テラコッタプレート

ワーキングデスクの上に目薬、ハンドクリーム、オイルなどをまとめて置いておく用のテラコッタの小皿もどこかのマーケットで発見しました。古いものって、これがほしいなーとピンポイントで探しているものが「ない」のが前提だから、まさに欲しかったやつを見つけたときの嬉しさがすごい。

Op shop 18キャビネットワゴン

大きなものも結構買っていて、デスク横に置いているキャビネットワゴンはなんと900円で購入しました。けっこうきれいなのに、安すぎて即買い。全然こんな大きいもの買うつもりなく入った日でしたが、幸い車だったのでその場で積んで持ち帰りました。

Op shop 15ツールボックス

このパキッとしたブルーが美しいツールボックスは、もともとオフィスで印鑑とかをまとめておくための箱。今は販売してないんじゃないかな。昭和の感じなんだけど、置き方によってはレトロですごくかわいく見えます。お道具箱として使っています。

Thrift Shop、Op Shopが生活に根付く海外

と、こんな感じでざっと家の中を見渡しただけでも、リサイクルショップやアンティーク家具屋さんで仕入れたアイテムばかり。引っ越してすぐに必要だった家具などは新品を買ってしまったけど、今なら全部古いもので揃えたいなと思います。

Op shop 1

で。ここからが本題なのだけど。日本では「リサイクルショップ」「セカンドハンド」「中古品」「ユーズド」「古着」みたいな言葉が使われて、どこか安っぽい雰囲気が拭いきれないと思うんです。

でもRecycle Shopは和製英語で、アメリカあたりではThrift Shop、オーストラリアやニュージーランドではOp Shop(Opportunity Shopの略)などという名称が親しまれています。

Thriftはもともと「節約」という意味で、中古だから値段が安いよーということ。Opportunityは「機会」という意味。捨てるものを寄付しに来てもいいし、売上はチャリティーに寄付されるんです。いろんな人の「機会」が行き交うお店、みたいな意味でしょうか。

Op shop 2オーストラリアにはしばらく住んでいましたが、このOp Shopは人々の生活にかなり密着に根付いています。リサイクルショップで買い物したことがない日本人はまあまあいるだろうけど、Op Shopで買い物したことがないオーストラリア人はきっと少ない。そのくらい、当たり前にみんなが利用する存在です。

日本は車にしても家具にしても「新品信仰」が異常に強い国な気がしています。それだけ豊かな国ということの象徴でもあるんだろうけど、海外ではそこまで全員が新品を買わない。そのほうがサステナブルでもあるなぁ、と思っていました。

オーストラリアで触れた、なんでも直し、譲り合って使う文化

Op shop 7自分で直す

さらにオーストラリアの特に田舎のほうでは、ちょっとした故障や不備なら自分で直してしまったり、必要なものは自分で作ってしまう文化でもありました。ガレージで何やら作業している人の光景はおなじみ。

車も自転車もサーフボードも、多少壊れても直して長く使い続けます。必要なくなったらすぐに捨てるのではなく、地域内で譲り合って使います。だからガレージセールも盛んで、週末になるとそのへんの家がガレージを開放して、好きなだけ持ってって〜とやってることもよくありました。

冷蔵庫やソファが家の前にドカーンと置かれていることもしばしば。まるで粗大ゴミのようにしか見えませんが、もらってくれる人を待っています(意外と持っていく人はいる)。

Op shop 4町並みクラシファイドサイト(地域情報のオンライン掲示板)やFacebook Marketplace(日本のメルカリのような)などのデジタルも活用し、地域内のコミュニティでモノが循環する仕組みがあるから、ゴミが出ない。画期的だなーと思っていました。

「捨てる」までの距離が遠い。

というのが、感じたことでした。日本では「不要→捨てる」がわりと一直線の発想ですが、「不要」と「捨てる」の間に、

  • 直して使えないかやってみる
  • リメイクして他の用途に使えないか考える
  • Op Shopなどに持ち込む
  • 他に誰か必要としている人を探す

と、いくつも選択肢がある感じ。それでもどうしてもダメだったとき、ようやく「捨てる」という最後のオプションに行き着くわけです。日本人の感覚で「ゴミ」と思うモノのだいたいがまだ使えて、「ゴミ」ってよっぽどなんだな、と思わされました。

Op shop 3ポイ捨て防止の看板

そんな肌に合っていたオージーカルチャー、日本になじんで忘れていってしまうのは悲しいなと思っているので、こうしてたまに思い出しては書き留めたりしています。

だけど新品を買うこともあるし、マイルールはある

op-shop-8自然と共存

とはいえ、古いものしか買わないー!というわけではもちろんありません。

私はガジェットやデジタルも好きなので、最新の商品がバンバン出続けるガジェットは複雑な気持ちになりながらも購入しています。それ以外でも、やはり最新機能の便利さに抗えないアイテムは多いので、そういうものは購入します。

選ぶ基準は、本当にそれじゃないといけないかどうか。代用できるかいつも考えてみて、できない場合は迷わずに買うことにしています。

それから、衛生面が気になるタイプなので、靴や帽子など直接肌に触れるもの、カトラリーなどの口に入るものは、中古で買うことはないです。そしてユーズドの中でも状態がよくきれいなものしか買わない。あとは「本来の値段」を意識して、「これは本当はすごくいいものだけど、なぜかこんな値段で売っている」というギャップを大切にしています。

こんな感じでマイルールを作って向き合うと、モノを選ぶ基準や自分なりの美意識みたいなところがどんどん洗練されて、結果的に無駄のないミニマルな人生になれる。という意識高い感じでやってます。

地球環境を考えて、新品を量産し続けなくてもいい社会に

Op shop 10自然と共存

改めて考えてみると、こんなに豊かな世の中になったのにまだまだモノが生産され続け、次々に新しい商品が出てくる地球は、どうかしてるなと思います。

今この地球上に存在しているモノだけで、すでにすべての生命体が十分豊かに生きられるくらいの量があるんじゃないかな。うまく行き渡りさえすれば。

モノを作れば産業ができて、そこに仕事が生まれるという考え方もあるのかもしれないけど。そもそもこんなに全人類があくせく働く必要もないよねそろそろ、というのが最近の考え。

みんな働かずニートみたいになって、今あるものを譲り合って、本当に必要なものだけに囲まれて慎ましやかに生きていけばいいんじゃないですかね。

みなさんも家に眠っているものをに還元してみたり、欲しいものがあればネットで探すのではなく地域内でアンテナを張ってみたりしてはどうでしょうか。ちょっと豊かさの基準が変わるかもしれません。

おわり。

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